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働き方改革法【第1回】

2018年09月01日

法改正情報

2018年6月29日に、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(以下「働き方改革法」)案が可決成立し、2018年7月6日に公布されました。

厚生労働省「『働き方改革』の実現に向けて」ページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

 

働き方改革のイメージは、どのようなものでしょうか?

労働者側だと、

①高度プロフェッショナル制度

②残業代0法案

③形ばかりの同一労働同一賃金

 

使用者側だと、

①残業させることができなくなる法案

②残業上限規制法案

のような感じでしょうか?

 

今後実務上どのようにしていくことが良いのかについて、私見もふまえ記載していきたいと思います。

では、まず働き方改革法について、まず法の趣旨をみてみましょう。

 

上記ホームページにおいて、厚生労働省は「働き方改革の目指すもの」として、「我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。」(上記ホームページより抜粋)と記載しています。

 

上記を見ると、ポイントは下記のとおりとなります。

 

人口減少による「労働力不足」を解消するために、「多様な労働力を取り入れ」るとともに、「生産性を向上」させるために、働き方改革を行うということです。

 

 

こうみると厚生労働省が記載している内容は、上記の一般の働き方改革のイメージとちょっと異なります。

残業代を少なくしたいわけでもなく、長時間労働を制限するというわけでもなく、

「生産性を向上させる」ここがポイントとなった法案であるということです。

 

ちなみに生産性とは、公益財団法人日本生産性本部のページを見ると「『生産性とは、生産諸要素の有効利用の度合いである』(ヨーロッパ生産性本部)」ときさいされています。

生産性の計算式については、目的等によっていくつかありますが、厚生労働省が考える生産性は、助成金制度の生産性要件をみると付加価値額生産性であり、下記の式に近いものであると思われます。

 

生産性=付加価値額÷労働量

付加価値額=人件費+減価償却費+不動産賃料+営業利益

労働量=労働者数×労働時間数

 

よって、厚生労働省が目的とする生産性を高めるには、下記の方法が考えられます。

 

①付加価値額を増やす

②労働量を減らす

 

「付加価値額を増やす」

もちろん営業利益が増えるのが一番いいかと思いますが、その他の指標を増やすことでもできます。ただし、他の項目は販管費であるため、結果として営業利益が減少してしまいます。具体的には、ITなどへ設備投資を行い(減価償却額↑)、粗利益を増やし(営業利益↑につながる)となります。

 

「労働量を減らす」

労働量は、労働者数×労働時間となります。もちろん厚生労働省は、労働者数を減らすことは手段としないでしょうから、労働時間数を減らすことを手段と考えます。

 

ここでポイントなのは、労働時間数と他の指標の相関性を減らす必要があるということです。「労働時間数と売上(粗利益)」の相関性が高いと、労働時間数が減少した場合、粗利益が減少していまい生産性は低くなります。また、「労働時間数と人件費」の相関性が高くても、労働時間数の減少が、人件費を下げることとなり、結果として生産性の向上につながらないこととなります。

 

このように生産性の向上という側面から働き方改革をみると、必ずしも労働時間の減少が、よいとは言えないものであるということです。

そこで、労働時間と人件費の相関性を低くすることにより、生産性が下がることを防ぐ制度が含まれているのでしょう。

 

生産性を高めるという観点から考えていくと、

戦前から続いた工場法の流れをくむ「労働時間×時給」の考え方から、新しい時代に合わせた新しい労働法制を作っていくという、昨今にない大きな改正であると考えています。

 

具体的な、法案内容の分析については別途書いていきたいと思います。

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